最近の工業用内視鏡(ビデオスコープ)には、プローブ先端の過熱を検知する温度センサーと、視覚・聴覚で知らせる温度警報機能を備えたモデルが増えています。ここでは、その仕組みと特徴、活用メリット、導入時の注意点まで詳しく解説します。
温度センサーが付いた工業用内視鏡は、映像を確認しながら同時に温度もチェックできます。あらかじめ設定した温度を超えると、画面への警告メッセージや、アラーム音で知らせてくれます。
機器の加熱による故障や作業者のケガなどのリスク避けることができ、また、メンテナンス作業もスムーズになります。
可動式プローブの先端に小型の熱電対やRTD(抵抗温度検出器)が内蔵されていて、調べている対象物の温度をリアルタイムでモニターに表示します。映像と温度が同時に画面に表示されるので、検査中に温度の異常をすぐにキャッチできます。
配管内の一部だけが熱くなっている場所や、エンジン内部の高温箇所などをピンポイントで発見することができます。
ユーザーが設定した上限・下限温度に近づくと、映像画面上に警告アイコンが点滅し、内蔵ブザーが作動して異常接近を知らせます。アラームは音声と視覚の両方で警告するので、騒音の多い現場でも見逃しが少なく、迅速に対応できます。閾値を細かく設定できるので、検査対象や作業環境に応じて柔軟に運用できます。
一部モデルでは、中間レベルと上限レベルの二段階で警告を発し、さらに上限を超えると自動的に映像記録やプローブ動作を停止します。
例えば60℃超過で注意表示、80℃超過で強力アラーム、100℃到達でプローブ機能ロックのステップです。機器保護と作業者安全を最優先に設計されています。
挿入部には耐熱性に優れた合金シースや高温耐性プラスチックを採用し、規定時間内であれば最大100℃以上の環境下でも使用できます。
さらにIP55以上の防塵・防滴性能を持ち、油や水分が混在する過酷な現場でも不安なく運用できます。
高温の配管やエンジンシリンダーの中を点検する際、温度センサー付きの内視鏡があれば、常に温度をチェックしながら点検できます。設定した温度に近づくと事前に警告が出るので、作業を安全に中断でき、機器の損傷や作業者のやけどなどリスクを大きく減らすことができます。
また、画面に表示される温度情報は、作業の判断材料としても活用できます。点検結果をもとに次のメンテナンス計画を立てやすくなり、保守業務の効率アップやコストダウンにもつながります。
さらに、データロガー機能を使えば、温度の変化をCSV形式で記録・出力できるので、品質管理レポートの作成や異常傾向の分析にも役立ちます。現場の担当者は「温度チェック」と「映像での確認」をまとめて行えるので、作業のムダを減らしながら、トラブルの予防にもつながります。
温度センサー付きの工業用内視鏡は、映像を見ながら温度もリアルタイムで確認できる便利なツールです。段階的な警告や自動停止機能のおかげで、機器の加熱によるトラブルや作業中のケガのリスクを大幅に減らすことができます。
ただし、モニターに表示される温度はあくまで“目安”です。温度センサー付き工業用内視鏡は、あくまでプローブ保護の安全装置であり、対象物の精密温度計測を行う機器ではありません。
また、過熱警報の有無と耐熱上限はモデルごとに大きく異なるため、耐熱上限と利用時間を明確にして、仕様表を確認して選びましょう。
温度センサー付きの工業用内視鏡は、過熱による機器の損傷を回避し、作業員の安全確保に役立ちます。
工業用内視鏡には、大きく分けてビデオスコープ・ボアスコープ・管内カメラがあり、それぞれでニーズが異なります。どのような場所を確認・検査したいのかを明確にし、自社に適した製品を選びましょう。