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エンジン内部の内視鏡検査

自動車やバイクのエンジン、産業用機械のエンジンは、常に過酷な条件下で稼働しています。そのため、燃焼室やシリンダー内部にはカーボンが蓄積したり、ピストンやバルブに傷が入ったり、亀裂や摩耗が発生したりすることがあります。こうしたトラブルは、エンジンの性能低下や異音、さらには重大な故障につながりかねません。

従来、これらの内部状態を確認するには、エンジンを分解する必要がありました。しかし、内視鏡(工業用ボアスコープ)を使えば、プラグホールなどからプローブを挿入するだけで、分解することなく内部の詳細な状態を高解像度で確認できます。これにより、問題箇所を特定し、より迅速かつ的確なメンテナンスが可能になります。

エンジン内部の内視鏡検査の方法

エンジン内部の検査は、分解という大掛かりな作業を必要とせず、スパークプラグホールやインジェクターホールといった既存の開口部を最大限に活用して行います。この方法により、時間とコストを大幅に削減しながら、エンジンの健康状態を正確に把握することが可能になります。検査の具体的なステップは以下の通りです。

1. 検査対象と目的の特定

単に「エンジンを検査する」のではなく、「何を知りたいのか」という目的を明確にすることから始めます。例えば、エンジン不調の原因がシリンダー内の圧縮不良にあると疑われる場合は、シリンダー壁やピストンの状態を重点的に観察します。また、異音の原因がターボチャージャーにあると推測される場合は、羽根の損傷や異物の有無を確認します。このように、目的を明確にすることで、効率的かつ的確な検査が可能になります。

2. 内視鏡の慎重な挿入

エンジン内部は精密な部品で構成されているため、プローブを挿入する際は細心の注意が必要です。スパークプラグやインジェクターを取り外した後、プローブをゆっくりと、そして確実に挿入します。このとき、プローブが内部の部品に当たって傷つけないよう、先端が自由に曲がる「湾曲機能」を持つ内視鏡が非常に役立ちます。この機能により、狭い空間でもプローブの向きを自在に変え、目的の場所を隅々まで観察できます。

3. 観察と状態の記録

プローブのカメラが捉えた映像をリアルタイムでモニターに映し出し、詳細な観察を行います。観察すべきポイントは多岐にわたりますが、特に重要なのは以下の点です。

これらの観察結果は、画像や動画として記録することで、後から分析したり、顧客や他の技術者と共有したりすることができ、より精度の高い診断につながります。

エンジン内部の内視鏡検査のポイント

ただ内視鏡を挿入するだけではなく、適切な機器を選び、正しい使い方をすることで、診断の精度は大きく向上します。ここでは、エンジン内部検査で特に押さえておきたいポイントを詳しく解説します。

1. 最適なプローブの太さと長さの選定

内視鏡のプローブには様々な太さ(直径)と長さがあります。エンジン内部の検査では、スパークプラグホールやインジェクターホールの穴径に合った、できるだけ細いプローブを選ぶことが重要です。プローブが細すぎると剛性が不足し、長すぎると操作が難しくなるため、検査対象のエンジンに最適なサイズを選ぶことが診断成功の鍵となります。例えば、乗用車のエンジンには6mm径、軽自動車にはより細い3mm径が適している場合があります。

2. 高解像度カメラと光源の確保

エンジン内部の微細な傷や初期の亀裂を見逃さないためには、フルHD(1920×1080)以上の高解像度カメラを搭載したモデルが不可欠です。画質が鮮明であればあるほど、小さな異常も確実に捉えることができます。また、エンジン内部は光が届きにくいため、プローブ先端に搭載されたLED照明の明るさも非常に重要です。調光機能付きの機種であれば、光の反射を抑え、よりクリアな映像を得ることが可能になります。

3. 撮影機能とレポート作成

診断結果を記録し、客観的な証拠として活用することは、検査の価値を大きく高めます。多くの内視鏡には、静止画や動画の撮影・保存機能が備わっています。これらの機能を使って異常箇所を記録し、レポートとしてまとめることで、お客様への説明や修理提案がスムーズに行えます。この記録は、修理後の状態と比較するためにも役立ち、作業の正当性を証明する重要なツールとなります。

4. 専門家によるサポートの活用

「どの機種を選べばいいか分からない」「使い方が不安だ」といった場合でも、専門家によるサポートがあれば安心です。「すきまチェック」では、お客様の検査目的や対象となるエンジンに最適な機種のご提案から、使い方のアドバイスまで、専門の知識を持ったスタッフがサポートします。高価な内視鏡をいきなり購入するのではなく、まずはレンタルサービスを利用して、実際の使用感を試してみることも賢い選択です。

エンジン内部検査の内視鏡検査の事例

スピード記録に挑むスーパーソニックカーのエンジン点検

自動車の世界速度記録に挑戦するプライベートチーム「North American Eagle」は、ジェットエンジン搭載のスーパーソニックカーを所有していました。高額な走行費用を賄うため、チームはスポンサーの信頼を得る必要があり、そのためにエンジンの健全性を証明することが不可欠でした。そこで、エンジンを分解することなく内部の状態を詳細に把握するため、高解像度内視鏡「IPLEX® NXビデオスコープ」による非破壊検査が実施されました。

内視鏡検査の結果、タービンブレードのエッジが砂で研磨されていること、そして最も重要な発見として、ベアリングからわずかな油漏れが発生していることが判明しました。この油漏れは、放置すればエンジンの重大な故障につながる可能性があったため、チームは今後の走行に向けて慎重な監視が必要であると認識しました。IPLEX NXの優れた画像処理機能とステレオ計測機能により、この油漏れを特定できただけでなく、エンジン内部の摩耗や亀裂も詳細に測定し、継続的な状態監視のためのベースラインデータを取得しました。この検査を通じて、チームはエンジンの健康状態に確信を持ち、安心して試験走行に臨むことができたのです。

※参照元:エビデント公式HP(https://ims.evidentscientific.com/ja/insights/using-remote-video-inspect-supersonic-car)

まとめ

内視鏡によるエンジン内部検査は、エンジンを分解することなく、その健康状態を正確に診断できる有効な手段です。プラグホールなどの既存の開口部から細いプローブを挿入し、シリンダー壁やピストン、バルブ、ターボチャージャーといった重要な部品の異常を早期に発見できます。

正確な検査を行うためには、高解像度カメラや光源、そして湾曲機能を備えた機種の選定が重要です。これらの機能を活用することで、肉眼では見えない微細な傷やカーボン付着も鮮明に捉えることが可能になります。内視鏡検査は、潜在的な故障を未然に防ぎ、時間とコストを削減するメンテナンスの新しいスタンダードと言えるでしょう。

【業種別】工業用内視鏡
メーカー3選

工業用内視鏡には、大きく分けてビデオスコープ・ボアスコープ・管内カメラがあり、それぞれでニーズが異なります。どのような場所を確認・検査したいのかを明確にし、自社に適した製品を選びましょう。

自動車メーカー向け
部品内部の微細な欠陥まで
検出可能
エビデント
(ビデオスコープIPLEX)
ビデオスコープIPLEX
引用元:エビデント公式HP(https://www.olympus-ims.com/ja/rvi-products/iplex-nx/)
特徴
  • 湾曲可能で複雑な経路にも対応した高画質ビデオスコープ。高輝度レーザーダイオード内蔵により、暗いエンジンやモーター内部も鮮明に表示できるため、微細な欠陥も見落としづらくなります。

エビデントの
公式サイトで詳細を見る

部品加工会社向け
対象を固定できるので、
短時間で検査が可能
ミルス・システムズ
(リジッドボアスコープ)
リジッドボアスコープ
引用元:ミルス・システムズ公式HP(https://www.mils-sys.co.jp/products/efスコープ-2/)
特徴
  • 硬性のスコープで、手元の機械部品や点検箇所を固定しながら直接目で覗くから手ブレがなくなり、短時間で安定した検査が可能。

ミルス・システムズの
公式サイトで詳細を見る

インフラ管理会社向け
長距離や屈曲した配管でも
検査が可能
サンコー
(配管内視鏡カメラ300M)
配管内視鏡カメラ300M
引用元:サンコー公式HP(https://www.thanko.co.jp/view/item/000000000854?category_page_id=ct138)
特徴
  • 300m超のロングスコープで、弾性があるから曲がりくねった長い排水管や工場配管などの深部まで一カ所からまとめて点検をする事が可能。

サンコーの
公式サイトで詳細を見る